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2009年9月28日
~新型インフルエンザ遺伝子を迅速・高感度に検出する「超高速PCR測定システム」を開発~
 30分間以内で新型インフルエンザを迅速検査  

 財団法人東京都医学研究機構 東京都臨床医学総合研究所(担当研究者:芝崎太 副参事研究員)は、シンセラ・テクノロジーズ株式会社(※1)及び株式会社トラストと共同で、ヒトの検体(患者の鼻又は咽頭粘膜のぬぐい液)から迅速かつ高感度で新型インフルエンザの遺伝子を検出することができる「超高速PCR(※2)測定システム」を開発しました。このシステムを用いることにより、検体を採取してから30分間以内で新型インフルエンザの遺伝子を検出することが可能になります。

 なお、この研究は、東京都からの運営費補助金により平成20年度から実施している「新型インフルエンザ対策」特別研究の一環として行われているものです。



  • 開発した技術の概要
     今回開発した「超高速PCR測定システム」は、病院等の臨床現場における迅速診断の実現を目指したものです。専用の試薬を用いて前処理をした検体を、コンパクトディスク(CD)と同型のディスク型基盤に12穴のサンプル測定部を設けたサンプルディスクに載せ、測定装置本体に設置している3つの温度設定の異なる熱源上でサンプルディスクを回転させてPCRを行い、LED検出器で蛍光検出(※3)する新しい方法を用いています(図参照)。

    図.超高速PCR測定システムの測定原理
    この測定システムは、約30cm角のPCR測定装置本体とノート型パソコンで構成されている。測定装置本体内サンプルディスクのサンプル測定部(反応ウェル)に検体から抽出したRNAサンプルを載せ、低温・中温・高温の3つの熱源上を回転させることにより温度を上下させ、RNAからDNAへの変換とPCRを同時に行う。増幅されたDNA断片は、光源・蛍光検出ユニット部により蛍光検出する。
    図1



     このシステムにより、従来の装置では2時間以上の時間がかかっていた遺伝子増幅を、約15分間に大幅に短縮することが可能です。検体の前処理を含めても30分間以内となり、従来は前処理から検出まで4~5時間以上必要としていた新型インフルエンザの診断の迅速化に特に有効です。

     また、このシステムでは、季節性インフルエンザと新型インフルエンザの識別、タミフル耐性遺伝子や弱毒型・強毒型遺伝子の検出など、一回の操作で、患者のインフルエンザウイルスの様々な属性を同時に検査し、その後の治療方針決定に迅速に反映させることができます。


  • 今後の予定
     このシステムは、今後2か月程度をかけて、東京都健康安全研究センターから提供されるウイルス株を用いた感度や特異性の検証に加え、都立駒込病院 臨床検査科における実際の新型インフルエンザ患者の検体を用いた測定などの最終テストを行った後に、臨床試験を実施し、シンセラ・テクノロジーズ株式会社が厚生労働省に体外診断用医薬品及び医療機器としての製造販売承認申請を行う予定です。


  • 用語説明

    ※1:シンセラ・テクノロジーズ株式会社 (→Website
    芝崎研究員が開発し、東京都医学研究機構が特許権を保有する「たんぱく質バイオマーカーに対する高感度同時多項目解析技術」を中核とし、平成17年に設立された東京都医学研究機構発のベンチャー企業。

    ※2:PCR
    ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction)。わずかなDNA溶液の中から、溶液の温度の上下により、特定のDNAの鋳型とDNA増幅酵素を用いて、目的とするDNA断片だけを選択的に増幅させる手法。インフルエンザウイルスの検出は、ウイルスの持つRNAをDNAに変換した上で増幅を行う。

    ※3:蛍光検出
    PCRにより増幅した物質に蛍光物質を結合させ、励起光を照射することにより蛍光させて検出する方法