ホルモンなどの外来情報分子が細胞に作用すると、その情報が細胞膜を介して細胞内へ伝達され、様々な酵素が活性化される結果、最終的に細胞は特有の機能を発揮します。このプロセスは細胞膜情報伝達と呼ばれる生命現象の根幹であり、この過程に関わる分子群の機能を細胞および個体レベルで解明することは、種々の疾患の発症メカニズムの理解を深めるとともに、将来的には新薬や治療法の開発に繋がることが期待されます。細胞膜情報伝達において、膜の主要構成成分であるリン脂質や糖脂質などの複合脂質、及びそれに由来する代謝産物が重要な役割を担うことが明らかとなってきています。本プロジェクトでは、これら複合脂質の代謝に関わる酵素群の動態、機能、活性制御機構を解明し、各酵素の量的あるいは質的な異常が疾患にどのように関わるかを明らかにすることを目指しています。
細胞膜を介する情報伝達の解明(1)
プロジェクトリーダー

Makoto MURAKAMI, Ph.D
細胞膜を介する情報伝達の解明(2)
細胞膜を構成する脂質には糖鎖(糖が鎖状につながったもの)と脂質が結合した「糖脂質」と呼ばれる物質が存在しています。糖脂質は細胞が癌化すると組成が変化することが知られ、癌化マーカーとして利用されています。また糖脂質は糖鎖を細胞の外側に突き出した形で存在していますが、その糖鎖に病気を引き起こす様々な分子が結合することが知られています。病原性大腸菌O-157が出すベロ毒素やインフルエンザウイルスなどの身体の外から侵入するもの、そして自己免疫疾患で作られてしまう糖脂質抗体などの身体の中でできてしまうものがあります。しかし、これらの病気の発症に糖脂質がどのように関わっているかについてまだよく分かっていません。それは健康な状態で本来糖脂質が生体内で持っている役割がよく分かっていないためです。私たちは、生体内における糖脂質の役割を明らかにし、糖脂質が関わる病気を分子レベルで理解し、診断や治療へ応用していくことを目指しています。
プロジェクトサブリーダー

Kohji KASAHARA, Ph.D

